部門別業績の詳細分析
スイスのラグジュアリーグループ、リシュモンが2024年度の財務報告を発表しました。同社はカルティエ、ヴァン クリーフ&アーペル、ブチャラティなどの高級ブランドを擁し、特に宝飾品部門の堅調な成長が注目されています。
部門別に見ると、カルティエ、ヴァン クリーフ&アーペル、ブチャラティを含むジュエリー部門の売上高は6%増の142億4000万ユーロとなった。この成長は主にアジア市場、特に中国と日本の需要拡大によるものです。富裕層を中心とした消費の回復と、婚約指輪市場の活況が寄与しました。
一方、時計部門の売上高は3%減の37億7000万ユーロとなり、市場の厳しさが浮き彫りになりました。この背景には、スマートウォッチの普及や経済的不確実性による高額商品の購買抑制が影響しています。特にヨーロッパ市場での販売不振が顕著で、一部モデルの在庫調整も行われています。
クロエを含むその他の部門の売上高は2%減の26億1000万ユーロとなったものの、皮革製品部門では一部回復の兆しが見られます。ファッションサイクルの変化に対応した新商品ラインが一部市場で好評を得ています。
宝飾品事業の成長戦略
リシュモングループは、時計部門の不振を補うため、宝飾品事業への投資を強化しています。2024年度には以下の戦略を推進しました:
- カルティエの「LOVE」コレクションのリニューアルと限定品展開
- ヴァン クリーフ&アーペルにおける高級婚約指輪ラインの拡充
- ブチャラティの若年層向けエントリーモデルの開発
- デジタルマーケティングの強化(バーチャル試着技術の導入など)
- 中国市場向けに旧正月限定コレクションを拡大
これらの取り組みにより、ジュエリー部門の営業利益率は前年度比0.8ポイント改善し、グループ全体の収益を支える柱となっています。特に、1万ユーロ以上の高額商品の売上構成比が拡大し、ブランドのプレステージ戦略が功を奏しています。
市場動向と今後の見通し
ラグジュアリー市場の専門家は、時計部門の低迷について一時的な調整局面と分析しています。一方で、宝飾品市場は以下の要因により今後も成長が期待されています:
- ミレニアル世代を中心とした自己投資としてのジュエリー購入の増加
- 婚約・結婚市場の回復傾向
- アジアを中心とした富裕層の拡大
- サステナブルジュエリーへの需要高まり
- ブランドコラボレーションによる新規顧客獲得
リシュモングループは2025年度に向け、時計部門の再生と宝飾品部門のさらなる成長の両輪で収益拡大を目指す方針です。特にカルティエの100周年を控え、記念モデルの投入や大型マーケティングキャンペーンが計画されています。
業界関係者によれば、ラグジュアリーブランドの事業ポートフォリオ最適化が進む中、リシュモンの宝飾品重点戦略は市場の変化に適応した合理的な選択と評価されています。今後の各ブランドの商品戦略とデジタル変革の進展が注目されます。
