中国市場における勢力図の変化
中国スポーツウェア市場において、国内ブランドの台頭が著しい。2022年度の財務報告によると、安踏(アンタ)と李寧(リーニン)はそれぞれ536億5,100万元と285億300万元の売上高を達成し、市場シェアで第1位と第3位にランクインしました。特に注目すべきは、安踏が初めてナイキチャイナを抜き、中国市場で売上高トップのスポーツウェアブランドとなったことです。
この結果は、中国国内ブランドが国際的なスポーツウェア巨人であるナイキやアディダスに対して、本格的な反撃を開始したことを示唆しています。ここ数年で、アンタとリーニンは製品品質の向上、ブランドイメージの刷新、マーケティング戦略の見直しを積極的に行ってきました。
成長を支える戦略的要因
アンタの成功要因として、多ブランド戦略が挙げられます。同社はFILA(フィラ)やDescente(デサント)など、複数のブランドを傘下に収め、市場セグメントごとにきめ細かいアプローチを実現しています。特に、高級スポーツウェア市場での存在感を強めており、これがナイキとの直接対決を可能にした要因と言えるでしょう。
一方、リーニンは「国潮(グオチャオ)」と呼ばれる中国スタイルの流行に乗り、愛国心を喚起するデザインとマーケティングで若年層を中心に支持を拡大しています。北京オリンピックなどの国際イベントで中国代表チームのユニフォームを提供したことも、ブランド認知度向上に大きく貢献しました。
今後の市場展望
専門家の間では、中国スポーツウェア市場の成長は今後も続くと予想されています。中国政府が推進する「健康中国2030」計画や、国民の健康意識の高まりが市場拡大を後押ししています。このような環境下で、アンタとリーニンがナイキやアディダスに対してどこまでシェアを拡大できるかが注目されます。
特に、中価格帯市場での競争が激化する見込みです。アンタとリーニンは品質面で国際ブランドに遜色ない製品を、より手頃な価格で提供できる点が強みです。一方、ナイキやアディダスも中国市場向けにローカライズ戦略を強化しており、今後の市場動向から目が離せません。
また、EC(電子商取引)チャネルの成長も見逃せません。中国ではオンラインでのスポーツウェア購入が主流となっており、デジタルマーケティングとサプライチェーン管理の効率化が各社の競争力を左右する重要な要素となっています。
グローバル展開の可能性
中国市場での成功を踏まえ、アンタとリーニンは海外展開にも積極的です。特に東南アジア市場では、中国ブランドに対する認知度が高まっており、今後の成長が期待されます。しかし、欧米市場での展開には、ブランド力やデザイン面でまだ課題が残されているのが現状です。
国際的なスポーツイベントへの参画や、海外有名人とのコラボレーションなど、グローバルブランドとしての認知度向上策が今後の鍵を握ると言えるでしょう。中国国内での成功体験を、いかにグローバル市場に適用できるかが、ナイキやアディダスに対する真の反撃となるかどうかの分岐点になりそうです。
