2023年に公開された伝記映画『グッチ・ファミリー』は、その題材、クリエイティブチーム、そしてキャストに至るまで、まさに「オスカー」級の映画として期待されていました。特にキャスト陣は豪華で、レディー・ガガとアダム・ドライバーが陰謀とスキャンダルにまみれたグッチ夫妻を演じ、ジェレミー・アイアンズが先代二代目のオーナーを演じています。
豪華キャストが集結したにもかかわらず
『グッチ・ファミリー』の最大のセールスポイントは、間違いなくその豪華なキャストでした。レディー・ガガは『アリー/スター誕生』でアカデミー賞主題歌賞を受賞した実力派、アダム・ドライバーも『マリッジ・ストーリー』でアカデミー賞にノミネートされるなど、近年最も注目を集める俳優の一人です。さらに、ジェレミー・アイアンズ、アル・パチーノ、ジャレッド・レトといったベテラン俳優陣が脇を固めるという、まさにオールスターキャストと呼ぶにふさわしい布陣でした。
なぜ興行成績が振るわなかったのか
しかし、このような豪華キャストにもかかわらず、『グッチ・ファミリー』の興行成績は期待を大きく下回る結果に終わりました。その理由として、多くの批評家や観客から指摘されているのが「ストーリーの単調さ」と「混沌とした展開」です。
グッチ家の歴史は、ファッションブランドとしての成功と、一族内の権力闘争、スキャンダルなど、ドラマチックな要素に満ちています。しかし、映画ではこれらの要素がうまく整理されず、観客にとっては「誰が何をしているのか分からない」状態に陥ってしまう場面が多かったとの声が上がっています。
時間軸の混乱が観客を混乱させた
特に問題となったのは、時間軸の扱い方です。グッチ家の歴史は数世代にわたるため、時系列を明確にすることが重要でしたが、映画では過去と現在が頻繁に入れ替わり、観客の理解を妨げる結果となってしまいました。
また、豪華なキャスト陣が逆に仇となった面もあります。それぞれの俳優が個性的な演技を見せるものの、全体としての統一感に欠け、作品としてのまとまりが損なわれてしまったという指摘もあります。
批評家の評価は二分
批評家の間でも評価は分かれています。一部からは「豪華なキャストが魅力的」「ファッションシーンが美しい」といった称賛の声がある一方、「ストーリーが散漫」「キャラクターの掘り下げが浅い」といった厳しい意見も少なくありません。
興行成績が振るわなかった背景には、このような作品自体の問題に加え、パンデミックの影響で劇場に足を運ぶ観客が減少しているという業界全体の事情も関係していると考えられます。
今後の見通し
『グッチ・ファミリー』は、豪華キャストと高額な制作費にもかかわらず、興行的には苦戦を強いられています。しかし、ストリーミング配信やブルーレイ/DVDリリース後に評価が上がる可能性もあり、今後の動向が注目されます。
この作品の経験を活かし、制作陣が今後の作品でより洗練されたストーリーテリングを提供できるかどうかが、彼らの真価が問われるところでしょう。豪華キャストを起用するだけでは成功は保証されないという、ハリウッドにとって重要な教訓を残した作品と言えるかもしれません。
