ケリンググループの飛躍的な業績回復
グッチ、サンローラン、ボッテガ・ヴェネタなどの高級ブランドを擁するフランスのケリンググループは、2021年度の決算を発表しました。2021年12月21日時点の売上高は176億4,500万ユーロ(約2兆3,000億円)に達し、パンデミックの影響を受けた2020年と比較して34.7%増加、コロナ前の2019年と比較しても13%増という好成績を記録しました。
この驚異的な回復は、同社のフラッグシップブランドであるグッチの戦略転換が大きく寄与しています。2015年から続いていたアレッサンドロ・ミケーレ時代のデザイン路線を刷新し、よりクラシックなグッチのアイデンティティ回帰を図ったことが消費者の支持を集めたのです。
地域別・ブランド別の業績詳細
地域別では、アジア太平洋地域が最も高い成長率を示しました。特に中国市場での販売が堅調で、オンライン販売の拡大も追い風となりました。北米市場でも富裕層を中心とした需要が回復し、欧州では観光客の減少が影響したものの、地元消費者の支持が業績を下支えしました。
ブランド別では、グッチがグループ売上の約60%を占める主力ブランドとしての地位を堅持しました。サンローランはアクセサリー分野で、ボッテガ・ヴェネタは革新的なデザインでそれぞれ存在感を増しています。その他、バレンシアガやアレキサンダー・マックイーンなども安定した成長を続けています。
営業利益と純利益の推移
営業利益率は前年比で大幅に改善し、高付加価値商品の比率向上とコスト削減努力が実を結びました。純利益に関しては、為替変動の影響を一部受けたものの、基本的な収益力は強化されています。グループ全体として、デジタル戦略への投資を拡大しながらも、収益性の高いビジネスモデルの構築に成功していることがわかります。
特に注目すべきは、直接販売(DTC)戦略の強化です。百貨店などの中間流通を減らし、自社ブランド店舗や公式ECサイトでの販売比率を高めることで、マージンの改善を図っています。この戦略転換は、高級ブランド業界全体のトレンドとも言えるでしょう。
今後の戦略と市場予測
ケリンググループはサステナビリティ戦略にも力を入れており、環境配慮型素材の採用やカーボンニュートラルへの取り組みを加速させています。これは特にZ世代やミレニアル世代の消費者から支持を得ており、ブランド価値の向上に寄与しています。
2022年度の見通しについては、中国市場の動向や世界的なインフレ圧力が不確定要素として挙げられますが、高級品市場の回復基調は続くと予想されています。グッチを中心としたブランドポートフォリオの強みを活かし、さらなる成長が期待されています。
「グッチはまたグッチに戻った」という表現は、単なる過去の復古ではなく、ブランドの本質的な価値を見直しつつ、現代の市場環境に適応した新たな進化を遂げていることを示しています。ケリンググループの今後の展開から目が離せません。
