サービス終了の正式発表
世界的スポーツブランドのナイキが提供するランニングアプリ「Nike Running Club(NRC)」が、2022年7月8日をもって中国本土でのサービス提供を終了することが明らかになりました。同社は先日、ユーザー向けにこのサービス終了の通知を発表し、事業調整が理由であると説明しています。
NRCアプリはこれまで中国市場において335万回以上のインストールを記録していましたが、ユーザー評価はわずか1.8星(5段階評価)と非常に低い水準に留まっていました。この評価は同種のランニングアプリの中でも最低クラスに位置付けられます。
中国市場での苦戦
専門家によると、NRCアプリの中国市場撤退にはいくつかの要因が考えられます。まず、中国国内ではWeChatやAlipayなどのローカルプラットフォームと連携したフィットネスアプリが多数登場し、激しい競争環境が形成されていました。
また、中国特有のデータ規制やプライバシーポリシーへの対応不足も指摘されています。近年、中国では個人データ保護法が強化されており、外国製アプリにとっては運用コストが増大する要因となっていました。
さらに、現地ユーザーからのフィードバックでは「中国語対応が不十分」「ローカルランニングイベントとの連携が少ない」「GPS機能の精度が低い」といった不満の声が多く寄せられていました。
ナイキの中国戦略への影響
今回のNRCアプリのサービス終了は、ナイキの中国におけるデジタル戦略にどのような影響を与えるのでしょうか。アナリストは「アプリ単体の撤退であれば直ちに大きな影響はないが、デジタルエンゲージメント戦略の見直しが必要」と指摘します。
ナイキは中国市場において、ECプラットフォームやSNSを通じたマーケティングに注力しており、特にWeChatミニプログラムを活用した顧客エンゲージメントを強化しています。今後はスタンドアロンアプリよりも、これらのプラットフォームとの統合型サービスを推進する可能性が高いと見られています。
一方で、中国のフィットネスアプリ市場は2025年までに年平均成長率15%で拡大すると予測されており、ナイキがこの成長市場から完全に撤退するとは考えにくいとの見方もあります。
ユーザーへの影響と代替手段
現在NRCアプリを利用している中国本土のユーザーは、7月8日までにデータのバックアップを取る必要があります。ナイキは通知の中で、サービス終了前にランニング履歴や達成記録をエクスポートする方法を案内しています。
中国市場では、KeepやCodoon(悦跑圈)といったローカルブランドのランニングアプリが人気を集めており、これらがNRCユーザーの主な受け皿になると予想されます。特にKeepは1億人以上のユーザーを抱える中国最大のフィットネスアプリで、ソーシャル機能やトレーニングプログラムの充実が評価されています。
スポーツアプリ市場のグローバル競争が激化する中、各社がどのようにローカル市場に適応していくかが今後の注目ポイントとなりそうです。
