「まだナイキ買ってる人いるの?!冗談でしょ?」SNS上でこんな声が広がっている。長年スポーツウェア市場をリードしてきたナイキが、まさか「時代遅れ」とか「ダサい」というイメージを持たれる日が来るとは、関係者も夢にも思っていなかっただろう。
今週、中国SNSのWeiboで#ナイキの市場価値が一夜にして800億以上蒸発#という衝撃的なハッシュタグがトレンドリストのトップに立ち、2億回以上の閲覧と1万4000件を超える議論を巻き起こした。この現象は単なる一時的な話題ではなく、若者世代の消費意識が根本から変化していることを示唆している。
転換点となった6月27日
事態が急変したのは6月27日、ナイキが発表した四半期決算が予想を大きく下回ったことがきっかけだった。特に顕著だったのがZ世代(1990年代後半から2010年代前半生まれ)の購買離れで、アナリストは「割引品を扱う小売店でナイキの靴を見かけることが、逆にブランド価値を毀損している」と指摘する。
東京の大学生(21歳)は「ナイキのロゴが入った靴を履いていると、『お兄ちゃんの世代のブランド』ってからかわれる。特にアウトレットで買ったのがバレると恥ずかしい」と本音を明かす。この発言は、ブランド戦略の失敗というより、「見せびらかし消費」から「共感消費」へのパラダイムシフトを反映している。
サステナビリティと倫理消費の台頭
専門家によると、この現象の背景には3つの要因があるという:
- 環境問題への意識向上(ナイキのサプライチェーン批判)
- 地元ブランドや独立デザイナーへの支持
- 「目立つ消費」から「意味ある消費」への価値観変化
特にZ世代は「ブランドが社会的責任をどう果たしているか」を厳しくチェックする。ナイキが過去に抱えた労働環境問題がSNSで再燃し、「倫理的に購入できない」という声が若年層で広がっている現実がある。
データが示すブランド力の衰退
市場調査会社の最新データによると:
- 18-25歳のナイキ購買意向が過去5年で40%減少
- 「高品質だが高価」というイメージが「割引品が多い陳腐なブランド」に変化
- 競合他社に比べSNSエンゲージメント率が67%低下
ファッション評論家の田中裕子氏は「ナイキ問題は単なる一ブランドの凋落ではなく、マス市場が細分化される現代消費社会の縮図」と分析。「画一的なブランド戦略が通用しなくなった今、各社はコミュニティごとのマイクロトレンドに対応した商品開発が求められる」と指摘する。
ブランド再生への道筋
危機感を強めたナイキ本社は、現在以下の対策を急ピッチで進めている:
- サステナブル素材使用率を2025年までに50%に拡大
- 地域クリエイターとのコラボレーション強化
- 限定品戦略を見直し、過剰なバーゲン販売を抑制
しかし、一度失った若者の信頼を取り戻すのは容易ではない。あるアパレル業界関係者は「問題の本質は価格戦略ではなく、ブランドが次の世代と真の対話を築けるかどうかにある」と語り、根本的なマーケティング哲学の転換が必要だと訴える。
今後ナイキがこの逆境を乗り越えられるかどうかは、全てのグローバルブランドにとって重要なケーススタディとなるだろう。消費者の価値観が多様化する中、ブランドアイデンティティの再定義が急務となっている。
