ロエベはなぜ創業178年目にして初の回顧展を開催したのか?

ロエベはなぜ創業178年目にして初の回顧展を開催したのか? - 加奈ショップ

歴史的転換点となる展覧会

スペインを代表するラグジュアリーブランド、ロエベが2024年3月、創業178年目にして初となる大規模回顧展「クラフテッド・ワールド」を上海で開催しました。この展覧会は1846年の創業以来、ブランド史上初の試みであり、その第一歩が中国・上海で踏み出されたことは、アジア市場におけるロエベの戦略的重要性を示す象徴的な出来事と言えます。

展覧会のオープニングセレモニーには、2013年からアーティスティックディレクターを務めるジョナサン・アンダーソンが出席。北京のSKP-Sで個展を開催した直後のタイミングで来中し、中国のファンやメディアに向けてブランドのビジョンを直接語りかけました。

178年目の回顧展が意味するもの

なぜロエベは創業178年目という節目で初の回顧展を開催したのでしょうか。専門家の分析によれば、これには3つの重要な理由が考えられます。

  1. ブランドアイデンティティの再定義:近年の急速なグローバル展開の中で、クラフトマンシップと革新の伝統を改めて世界に発信する必要性
  2. アジア市場への戦略的アプローチ:特に中国をはじめとする新興富裕層に向けたブランドストーリーの構築
  3. ジョナサン・アンダーソン時代の総括:過去10年間の改革を振り返り、次の10年に向けた方向性を示す契機

展覧会タイトルの「クラフテッド・ワールド」は、ロエベの核となる価値観である「職人の技(クラフトマンシップ)」と「グローバルな視点」の融合を表現しています。

展覧会の見どころと特別展示

「クラフテッド・ワールド」展では、ロエベの歴史を紐解く貴重なアーカイブ作品から、ジョナサン・アンダーソン手がける最新コレクションまで、時代を超えた約200点が展示されています。

特に注目すべきは、19世紀のオリジナルレザーグッズと現代のイコン的バッグ「パズル」を比較展示したコーナー。伝統の技術がどのように進化し、現代のデザイン言語として再解釈されているかを視覚的に理解できる構成となっています。

また、スペインの職人によるレザーワーキングの実演コーナーや、素材開発のプロセスを紹介するインタラクティブ展示など、ブランドのものづくりへのこだわりを多角的に伝える工夫が随所に散りばめられています。

中国市場におけるロエベの戦略

上海での世界初開催という選択は、ロエベの中国市場へのコミットメントを強く示すものです。中国のラグジュアリー消費は質的変化を遂げており、単なるブランドロゴではなく、深いストーリーと文化的価値を求める傾向が強まっています。

ロエベの中国市場担当ディレクターは「今回の展覧会を通じて、中国の消費者にブランドの本質的な価値を理解していただきたい」と語り、教育的アプローチの重要性を強調しました。展覧会後には、上海や北京の旗艦店で特別商品の展開や職人ワークショップの開催が予定されています。

ジョナサン・アンダーソンのビジョン

オープニングセレモニーでスピーチしたジョナサン・アンダーソンは「ロエベの178年の歴史は、常に革新と伝統の対話だった」と述べ、展覧会のコンセプトを説明しました。

「過去を振り返ることは、未来を見据えることだ」という彼の言葉通り、この展覧会は単なる回顧ではなく、伝統的クラフトマンシップを現代的な視点で再解釈し、持続可能なラグジュアリーの未来を探求する試みとして位置付けられています。

アンダーソンは今後の展望として、「デジタル時代においても、手仕事の価値は決して色あせない」と断言し、アナログとデジタルの融合を追求していく意向を示しました。

「クラフテッド・ワールド」展は上海で3月21日から6月末まで開催され、その後アジア主要都市を巡回する予定です。178年の歴史を持つ老舗ブランドが初めてその全貌を公開するこの機会は、ファッション史においても重要なマイルストーンとなるでしょう。

リリース時間: 2025-12-07 05:52:38