大規模な人員削減の背景
スポーツウェア業界のグローバルリーダーであるナイキ(NKE.US)が、従業員の約2%に相当する人員削減を実施することを正式に発表しました。この大規模なリストラ策は、同社が掲げる最大20億ドル(約3000億円)規模のコスト削減計画の一環として位置付けられています。
ナイキのジョン・ドナホーCEOはこの決定について、「現在の市場環境において、より効率的な経営構造を構築することが不可欠だ」と説明。特にランニングシューズ部門、女性向けアパレルライン、その他のスポーツウェアカテゴリーへの戦略的投資を強化するため、リソースの再配分が必要だと述べました。
スポーツウェア市場の構造変化
近年のスポーツウェア市場では、新興ブランドの台頭が著しく、市場シェアの争いが激化しています。特にオンラインファーストのDTC(Direct-to-Consumer)ブランドや、サステナビリティを重視したエシカルブランドが若年層を中心に支持を拡大しており、伝統的なスポーツブランドにとって大きな脅威となっています。
市場調査会社のデータによると、2020年以降、スポーツウェア市場全体の成長率は年平均7-8%を維持しているものの、その内訳は大きく変化。ナイキやアディダスなどの老舗ブランドのシェアが徐々に浸食されつつある状況です。こうした市場環境の変化が、ナイキの大胆なリストラ決断を後押しした要因と考えられます。
第二級都市への進出加速
同時にナイキは、成長戦略の一環として、これまで未開拓だった第二級都市(セカンドティアシティ)への進出を加速させています。特にアジア太平洋地域や中南米の新興市場において、大都市圏以外の都市への店舗展開やマーケティング活動を強化中です。
この戦略転換について、業界アナリストは「大都市圏の市場が飽和状態にある中で、第二級都市にはまだ大きな成長ポテンシャルが残されている」と指摘。ナイキが人員削減で浮いたリソースを、これらの新規市場開拓に振り向ける構えだと分析しています。
今後の業界展望
スポーツウェア業界全体としては、2024年以降も緩やかな成長が続くと予想されていますが、ブランド間の競争はさらに激化する見込みです。特にデジタルマーケティングやサステナブル素材の採用、パーソナライゼーション技術などが重要な差別化要素となってくるとみられています。
ナイキの今回のリストラが、短期的なコスト削減だけでなく、中長期的な競争力強化につながるかどうかが注目されます。同社は2025年までにDTC売上比率を50%まで引き上げる目標を掲げており、デジタルトランスフォーメーションへの投資も継続していく方針です。
