中国初上陸のAPハウスが上海に誕生
スイスの高級時計ブランド、オーデマ ピゲ(Audemars Piguet)は2023年12月20日、上海の主要商業施設「太古里(Taikoo Li)」に中国本土初となる「APハウス」をオープンしました。この戦略的出店は、同ブランドが中国市場における存在感をさらに強化する重要な一歩として注目を集めています。
新店舗となる上海APハウスは2フロア構成で、総面積約500平方メートルの広大な空間に、最新コレクションの展示スペース、カスタマイズサービス専用ルーム、VIPラウンジを完備。伝統的な時計販売店の枠を超えた「ブランド体験型空間」として設計されています。
中国消費者に向けた特別なショッピング体験
オーデマ ピゲのCEOフランソワ=ヘンリー・ベンナイム氏は「上海APハウスは単なる小売店舗ではなく、中国の時計愛好家との深い関係構築を目指したブランドのコミットメントを体現する空間」と説明。中国市場の特殊性を考慮した以下の特徴的なサービスを導入しています:
- 中国語対応の専属コンシェルジュによるパーソナルアシスタンス
- 現地の文化的嗜好を反映したインテリアデザイン
- WeChatを活用した予約システムとアフターサービス
- 中国限定モデルの優先展示・販売
スイス時計業界が加速する中国市場重視
上海APハウスの開設は、単なる一ブランドの拡張戦略ではなく、スイス高級時計業界全体が中国市場を最重要視する傾向を明確に示す事例として分析されています。2023年のスイス時計輸出統計によると、中国大陸市場は前年比18%増の急成長を記録し、香港を合わせるとスイス時計の全輸出額の約25%を占めるまでに拡大しました。
業界専門家は「中国の富裕層人口増加と高級品消費の成熟化が背景にある」と指摘。特に以下の点がスイスブランドの中国戦略を後押ししています:
- 30-45歳の新富裕層による高級時計需要の急増
- オンラインからオフラインへの消費行動シフト
- ブランドストーリーと体験を重視する消費傾向
- リセール市場の活発化による投資需要
今後の展望と市場影響
オーデマ ピゲは上海APハウスを皮切りに、2024年中に北京と深センにも同様のコンセプト店舗を展開する計画を明らかにしています。これに伴い、同社は中国市場向けに特別デザインの限定モデルを増産し、現地のデジタルプラットフォームを活用したマーケティング活動を強化する方針です。
スイス時計工業連盟の関係者は「中国市場の成長ポテンシャルはまだ十分に開拓されていない」とコメント。他の高級ブランドも2024-2025年にかけて中国での店舗拡張や現地化戦略を加速させる見込みで、オーデマ ピゲの今回の動きは業界全体のトレンドを先導する重要な事例として位置付けられています。
特に注目されるのは、中国消費者が単なる「高価な時計」ではなく、「物語性」と「希少価値」を求める傾向が強まっている点です。これに対応するため、各ブランドは中国市場向けに特別なデザインや機能を採用したモデルを開発し、現地の文化的要素を取り入れたマーケティングを展開しています。
